プロジェクトBABEL

Icon  project10 漫画家・大友克洋さん
が描く「バベルの塔」 Logo  inside babel

Project10  mainimg
「INSIDE BABEL」 大友克洋
 デジタルコラージュ:河村康輔
 2017年 90×110.5cm デジタルプリント、紙
©マッシュ・ルーム 大友克洋 ©河村康輔

「INSIDE BABEL」
制作ダイジェスト映像

 オランダ・ロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニンゲン美術館所蔵の16世紀ネーデルラント美術の至宝を紹介する「バベルの塔展」の開催を記念して、「AKIRA」などで世界的に知られる漫画家・映画監督の大友克洋さんが、本展の目玉作品であるピーテル・ブリューゲル1世作「バベルの塔」からインスピレーションを得た新作「INSIDE BABEL」を制作しました。作品は「バベルの塔展」会場に特別展示されます。詳しくは こちら をご覧ください。

 大友さんは、ブリューゲルを好きな作家の1人に挙げており、2作あるブリューゲルの「バベルの塔」のうち、オーストリア・ウィーン美術史美術館所蔵の作品を元に「未来都市」(1984年)という作品も手がけています。

 今回の作品制作にあたり、大友さんは共同制作者のコラージュ・アーティストの河村康輔さんと共に、ボイマンス美術館に加えて、ブリューゲル作品を多く所蔵するベルギー王立美術館とウィーン美術史美術館の三都を巡る取材旅行を敢行しました。特に、所蔵作品が来日するボイマンス美術館では、現地学芸員との意見交換会や関連する版画作品の調査など入念な取材を行いました。

<ロッテルダム・
ボイマンス美術館>

Project10  01
初めて「バベルの塔」と対面する大友さん。「本物は全然ちがうね」と感動の声 [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)
Project10  02
シャーレル・エックス館長自ら作品を解説。休館日の展示室を特別に開けてくれました [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)
Project10  03
近世絵画・彫刻美術キュレーターのフリーゾ・ラメルツェ氏によるレクチャー。制作にあたり疑問に思っていることをぶつける大友さん。鋭い質問の数々に思わず感嘆の声をもらすフリーゾ氏 [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)
Project10  04
今回の取材のために制作したバベルの塔のトレース画を見せる大友さん。このときから「バベルの塔の内部構造を描く」という構想があったようです。フリーゾ氏も興味津々で、白熱の議論は2時間を超えました [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)
Project10  05
ボイマンス美術館は、豊富な版画のコレクションでも有名です。ブリューゲルが下絵をした版画や、他の作家が描いたバベルの塔の版画なども見せてもらいました。紹介してくれているのは、版画・素描キュレーターのペーター・ファン・デル・クーレン氏 [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)
Project10  06
なんと“視覚の魔術師”とも称される版画家マウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898~1972)が描いた「バベルの塔」も。大興奮の河村さん [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)

<ベルギー王立美術館>

Project10  07
美術館に所蔵される別のブリューゲル作品も取材を行いました。写真は「ベツレヘムの人口調査」 [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)
Project10  08
ベルギー王立美術館にて「反逆天使の墜落」を隅々まで観察する大友さん。「INSIDE BABEL」にはここから選ばれたいくつかのモンスターが登場します [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)

<オーストリア・
ウィーン美術史美術館>

Project10  09
ウィーン版の「バベルの塔」を見る大友さんと河村さん。「INSIDE BABEL」にもこちらのバベルのパーツがいくつか使われています [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)
Project10  10
さすが「ブリューゲルの間」と呼ばれる展示室。ブリューゲルの名画の数々が惜しげもなく飾られていました [撮影]広瀬達郎(芸術新潮)

 作品のテーマは「バベルの塔の内部構造」。
 帰国後、現地取材の成果や緻密な計算などから、大友さんが精緻なタッチでバベルの塔の内側の様子を描いた下絵線画を描きました。
 大友さんは作品制作にあたり、ブリューゲル作品の要素を使い、自身の作品をどこまでブリューゲル作品に近づけることができるかを考えていました。下絵の素材には、ロッテルダム版「バベルの塔」だけでなく、ウィーン版のものも取り入れています。50枚以上の下描きの後、描かれた9枚の線画が作品の骨子となりました。

Project10  11
元絵のトレースや要素の抽出などを駆使して下絵を描いていきます。ウィーン版「バベルの塔」も参考にしています
Project10  12
大友さんの仕事場。整理された資料がズラリと並んでいます
Project10  13
「INSIDE BABEL下絵(奥1)」大友克洋 2017年 インク、紙 ©マッシュ・ルーム 大友克洋
Project10  14
「INSIDE BABEL下絵(左側2)」大友克洋 2017年 インク、紙 ©マッシュ・ルーム 大友克洋
Project10  15
「INSIDE BABEL下絵(左側1)」大友克洋 2017年 インク、紙 ©マッシュ・ルーム 大友克洋

 一方の河村さんは、大友さんが描いた下絵を元の作品画像に重ね合わせ、コラージュの技法を使ってデジタル上で彩色する作業を担いました。下絵に合わせるパーツや色みはすべてブリューゲルの「バベルの塔」から抽出しました。レンガ一つ一つに至る細部まで抽出されたパーツは合わせて20,000個以上にも及びます。

 こうして、制作期間約6カ月を経て、大作「INSIDE BABEL」は完成しました。

Project10  16
河村さんの作業風景。微細なパーツをひとつずつ抽出して色みを合わせたり、大きさを揃えたりします
Project10  17
パソコンの作業画面。よく見ると中央左下に合成して着色された制作途中の作品があります
Project10  18
完成お披露目会でのトークショーの様子。「ブリューゲルにどこまで近づけられるかがテーマだったが、よくできた」と満足気に語る大友さん
Project10  19
2万個以上のパーツを抽出した河村さんは、「この部分のレンガが一番好き」と話しました
Project10  20
「INSIDE BABEL」の完成を記念したお披露目会も開催しました。制作する中で発見したという「バベルの塔」の“入口”を指さす大友さん

「INSIDE BABEL」展示情報

【東京会場】 東京都美術館 LB階企画展示室入口横ホワイエ
【会期】 〜7月2日(日)まで

http://www.tobikan.jp/

【大阪会場】 国立国際美術館 B1階パブリックスペース
【会期】 7月18日(火)~10月15日(日)

http://www.nmao.go.jp/

※共に観覧無料

オリジナルグッズ販売の
お知らせ

「バベルの塔」展会場の特設ショップでは、本作品の複製原画(限定150部・税込85,000円、シリアルナンバーと大友・河村両氏の直筆サイン入り)、オリジナルTシャツ(税込2,800円)、オリジナルトートバッグ(税込4,200円)を販売しています。複製原画は、 朝日新聞ショップ でも購入することができます。

プロフィール

Project10  21

大友克洋
(おおとも かつひろ)

漫画家・映画監督。1954年、宮城県生まれ。
1973年『銃声』にてデビュー。1979年初の単行本となる『ショート・ピース』で注目を集める。映像では、『幻魔大戦』(キャラクターデザイン)、『迷宮物語』(『工事中止命令』監督)などを経て、1988年長編アニメーション作品『AKIRA』を皮切りに『MEMORIES』(1995年)、『スチームボーイ』(2004年)、『蟲師』(2007年)など自ら監督して活躍している。2013年、紫綬褒章を受章。
《おもな受賞歴》 
第4回日本SF大賞(『童夢』、1983)、第15回星雲賞コミック部門(『童夢』、1984)、第8回講談社漫画賞(『AKIRA』、1984)、フランス政府より芸術文化勲章シュバリエ(2005)、アニー賞ウィンザー・マッケイ賞(2014)、フランス政府より芸術文化勲章オフィシェ(2014)、アングレーム国際漫画祭最優秀賞(2015)

Project10  22

河村康輔
(かわむら こうすけ)

コラージュ・アーティスト。1979年、広島県生まれ。東京都在住。
アメリカ、スイス、ドイツ、フランスなど国内外の様々な美術館、ギャラリーで個展、グループ展を開催しつつ、Winston Smith、KING JOE、SHOHEI、大友克洋等との共作を制作。主な作品に、「大友克洋GENGA展」(2012)、「LUMINE×エヴァンゲリオン」(2012)、映画『SHORT PEACE』(2013、「ZIMA」キャンペーンイベント「OPEN TO CHANGE. ZIMA」(2015)。グラフィックデザイナー、アートディレクターとしても活躍し、多数のアパレルブランドにグラフィックを提供、DVD・CD のジャケット、書籍の装丁、広告等のデザイン、ディレクションなども手掛ける。作品集『2ND』(ERECT Lab.)、『MIX-UP』(ワニマガジン社)、『22Idols』(ERECT Lab./Winston Smith との共著)、『LIE』(Bootcamp magazine Vol.13(free magasine))、対談集『1q7q LOVE & PEACE』(東京キララ社)を刊行。ファッション雑誌「EYESCREAM」、季刊誌「TRASH-UP!」(根本敬氏と共作の実験アート漫画「ソレイユ・ディシプリン」)にて連載を持つ。

他のプロジェクト

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る