プロジェクトBABEL

Icon  project07 KLMオランダ航空で
行く、
ブリューゲルと
ボスの足跡を辿る
タラ夫の タラ夫の旅(下)

Project05  mainimg
Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam, the Netherlands

2016年11月、「バベルの塔」展マスコットキャラクターのタラ夫は、ピーテル・ブリューゲル1世とヒエロニムス・ボスという二人の巨匠の足跡を求め、オランダ・ベルギーへ旅立ちました。
ボスはその生涯をオランダ南部の町スヘルトーヘンボスで過ごし、ブリューゲルはアントワープやブリュッセルで活動しました。現在のオランダ・ベルギーにまたがる「ネーデルラント地方」で今から約500年前に活躍したブリューゲルとボス。二人の巨匠はどんな景色を見て、どんな思いで制作をしていたのでしょうか。タラ夫と一緒に旅に出てみましょう。

DAY3
ブリューゲルが見た風景

ブリューゲルとボスの足跡を辿るタラ夫の旅、最終回はいよいよブリューゲルの素顔に迫ります。

まず訪れたのはベルギーの首都ブリュッセル。
この町は、ブリューゲルが結婚をし、子どもを育て、そしてその最期を迎えた場所です。市内にはブリューゲルが埋葬された教会として有名なノートルダム・ド・ラ・シャペル教会があります。
またここには、ウィーン美術史美術館に次いで多くのブリューゲル作品を所有するベルギー王立美術館があります。
さっそく訪ねてみましょう。

Project07  01
Project07  02

宮殿風の建物の入口を抜けるとまずは古典部門がお出迎え。フランドル派を中心とする15世紀から18世紀までの美術品が所蔵される、まさに宝庫のような空間が広がっています。

中でも高い人気を誇る「ブリューゲル部屋」を覗いてみましょう。

Project07  03

開館直後なのにこの人だかり!明らかに他の部屋とは人口密度が違います。ブリューゲルはベルギーでも人気者なんですね。
この美術館が保有するブリューゲル作品は《ベツレヘムの人口調査》、《鳥罠のある冬景色》、《東方三博士の礼拝》、《反逆天使の転落》(本人作か工房作か不明として《イカロスの墜落》もあります)です。中でもひときわ人々の注目を集めていた作品がこちら↓

Project07  04
© Royal Museums of Fine Arts of Belgium
Project07  05

《反逆天使の転落》!天国を追放された天使ルシフェルが徐々にモンスターへと変わっていく様が描かれています。画面上部は天国、下部は地獄を表していて、様々な色彩で描かれたモンスターたちが、まるで天から真っ逆さまに落ちているような構図で描かれた大作です。
ボスによって生み出されたモンスターたちが、ブリューゲルの手によって再びよみがえっているかのよう。でもボスのモンスターに比べ、どこか愛嬌やかわいらしさも感じますよね。まさにキモカワ!

こちらの美術館では、“Bruegel. Unseen Masterpieces - When art meets technology”と称した特別展示を2016年3月~2020年3月まで開催しています。ブリューゲルの傑作に隠された魅力にデジタル技術で迫るこのプロジェクトは、美術館がGoogle Cultural Instituteと共同で開発したプログラム。肉眼では捉えられないような細部にわたる描き込みも、高解像度カメラで撮影されたデジタルアーカイブからは手に取るように見て取れます。

Project07  06

館内にはこのようなタッチパネルを内蔵した機器がいくつも置かれており、作品を前にしながら、同時に究極まで細部に寄った画像をみることができるのです。細部の緻密な描き込みを目の当たりにすると、グーグルがプロジェクトの対象にブリューゲルを選んだのも納得してしまいます。
グーグルによるブリューゲルプロジェクトは、ウェブでもご覧いただけます。
詳細は こちら

その他、展示されているブリューゲル作品はいずれも「農民画家ブリューゲル」を彷彿とさせるモチーフのものですが、一方で、人々の日常を徹底的に画面に表現する緻密さや細密さが既に現れているのがわかります。こうした彼の精巧な表現が、後の傑作《バベルの塔》につながったのかもしれませんね。

ベルギー王立美術館でブリューゲルの傑作を堪能したら、次の場所へ向かいましょう。
ブリュッセルから車を走らせることおよそ30分、到着したのはパヨッテンランド(Pajottenland)と呼ばれる地区です。のどかな田舎の街並みが続くこの地区には、「ブリューゲル街道」と呼ばれる街道があり、ブリューゲル作品のモデルとなったといわれる風景と共に、作品の複製看板を見ることができます。
「ブリューゲル街道」にはこうしたスポットがぜんぶで19箇所あります。作品に描かれた風景と実際には一致していないロケーションもありますが、16世紀にブリューゲルが見たネーデルラントの原風景を確かに感じることができます。

Project07  07

こちらは《鳥罠のある冬景色》の看板とその風景。ネーデルラントの子どもたちは、冬はこうした場所でスケートやそりに乗って遊んでいたんでしょうか。空が開けていてとても気持ちがいいです。

Project07  08
《盲人の寓話》の背景に描かれたシント・アンナ聖堂は、今もしっかり残っています

こちらは《鳥罠のある冬景色》の看板とその風景。ネーデルラントの子どもたちは、冬はこうした場所でスケートやそりに乗って遊んでいたんでしょうか。空が開けていてとても気持ちがいいです。

およそ500年前、ブリューゲルはこののどかな田園風景を背景に数々の油彩画を残しました。ブリューゲルは確かにここに存在し、この地に住む市井の人々を描いたのです。500年前と変わらずあり続けるこの町を歩いていると、思わず風景の中にブリューゲルの姿を探してしまいます。
ブリュッセルを訪れた際は、ゆったりと流れる時間の中、ブリューゲル街道を散歩してみてはいかがですか?

Project07  09
こちらは《農民と鳥の巣取り》の看板

続いては、中世の街並みがそのまま残る町、ブルージュです。
北海と水路で結ばれていたこの小さな町は、中世、ヨーロッパの商業の中心として繁栄していました。水路が沈泥のため浅くなり、商船が出入りできなくなったことで都市機能まで衰退してしまったブルージュ。でもそのおかげで、中世の趣がそのまま残る美しい町として、現代までその魅力を発信し続けています。

Project07  10
Project07  11

ロマネスク、ゴシック、古典主義、ルネサンス、バロック…様々な時代の建築物が同居するこの町は、「屋根のない美術館」とも称され、石畳の路地やのどかな運河が今も美しく残ります。素敵な建物やボートを眺めながら、ボスやブリューゲルが生きていた時代のネーデルラントの街並みを想像すると、町歩きに飽きることはありません。

そんなブルージュでのお目当てはこちら。

Project07  12

トレッドミルクレーン!!
ブリューゲルが生きた16世紀当時、最先端技術のクレーンといわれ、《バベルの塔》にもその姿が忠実に描かれています。
大きな車輪の中に作業員が入り、ハムスターのように車輪を回すことで荷物を引き揚げる仕組みになっています。現代のように高い建造物が少ない当時では、こうしたクレーンは主に港湾での荷揚げに利用されていたようです。バベルの塔の建設現場を描くとき、港湾にあったクレーンに着目したブリューゲルの想像力と応用力はさすがですね。

ちなみにこちらのクレーンは、2002年にブルージュが欧州文化都市となったときに制作されたもので、元々は海沿いに建てられていたようですが、現在は町の貯水池の片隅にひっそりと佇んでいます。

《バベルの塔》には、このように当時の建築技術がたくさん描かれています。想像上の巨塔を実際に建設するとしたら、一体どんな機材や技術が必要か。細部にわたる表現を突き詰めたからこそ、この塔はあたかも存在するかのようなリアリティをもって私たちに迫ってくるのですね。
ますます《バベルの塔》の来日が楽しみです!

おまけ-まだまだ尽きない、ブリューゲルの旅
実はこの旅ではもう一つ訪れた場所があります。オランダとの国境近くにある町、アントワープです。アントワープといえば、「フランダースの犬」にも登場する聖母大聖堂や、壮大な建築のアントワープ中央駅舎で有名です。

Project07  13
豪華な内装が美しい「アントワープ中央駅」の内観 © Antwerpen Toerisme en Congres

またこの町は、1551年にブリューゲルが聖ルカ組合に親方として登録された地であり、同市で最大規模の版画発行業者ヒエロニムス・コックのもとで下絵画家として活動していた場所でもあるのです。

そんなアントワープには、マイヤー・ヴァン・デン・ベルフ美術館という美術館があります。1904年に開館したこのネオ・ゴシック調の美術館は、私設の美術館としては珍しく、ブリューゲル作品を2つも所蔵しています。

Project07  14
© ベルギー・フランダース政府観光局
Project07  15
© ベルギー・フランダース政府観光局
Project07  16
《悪女フリート》 © Museum Mayer van den Bergh
Project07  17
《12のネーデルラントの諺》 © Museum Mayer van den Bergh

ブリューゲル作品は仲良く隣同士で並んでいます。
現代美術館のようなホワイトキューブとはまた異なる、邸宅のような空間で鑑賞するブリューゲル作品も一興です。
《悪女フリート》では、ベルギー王立美術館でみた《反逆天使の転落》に負けず劣らず多くのモンスターが登場します!アントワープを訪れた際はぜひお立ち寄りください。必見です。
※《悪女フリート》は現在修復中。2018年公開予定です。


「KLMオランダ航空で行く、ブリューゲルとボスの足跡を辿るタラ夫の旅」、いかがでしたか?
はじめは1回で完結するかと思われましたが、振り返ると本当に多くの見どころがあり、全3回の紀行記でも足りないくらい。
ボイマンス美術館のあるロッテルダム、ボスの故郷スヘルトーヘンボス、ブリューゲルが活躍したブリュッセルとアントワープ…。ブリューゲルとボスの足跡を追った結果、様々な土地を訪れることになりました。紀行記では書ききれなかった、各地での美味しい料理や現地の方々の温かさは、今でも忘れることはありません。
ブリューゲルもボスも、きっとこの地が大好きだったんだろうな。
「バベルの塔」展は、モンスターもたっぷりの展覧会ですが、ボイマンス美術館が大切に保管してきた作品たちからは、きっと温かさも感じてもらえるはず。
皆さまのご来場をお待ちしております!

byタラ夫
(完)

オランダへは、日本からの唯一の直行便が就航しているKLMオランダ航空が便利です。

Logo  klm 東京:成田国際空港(毎日運行※)
大阪:大阪:関西国際空港(毎週月・水・木・金・土曜日運行※)
ご予約・詳細は KLMオランダ空港ウェブサイト

※2017年2月現在 

■今日の移動 -DAY3

Project07  18

KLMオランダ航空で行く、ブリューゲルとボスの足跡を辿る旅(上)>>

KLMオランダ航空で行く、ブリューゲルとボスの足跡を辿る旅(中)>>

他のプロジェクト

トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る トップへ戻る