更年期は女性にとって避けては通れないもので、一般的に女性ホルモンの分泌の減少が見られる45歳~55歳くらいまでに訪れます。
その症状は、倦怠感や頭痛、イライラ等の更年期の症状が軽く済む人もいれば、重い症状が長く続く人もいるなど人それぞれ異なります。
そんなつらい症状を少しでも和らげようと「漢方薬でも、」と思ってみても、非常に多くの種類があり、自分の症状に合った商品を選ぶことができずに、逆にストレスに感じてしまう方も少なくないと思います。
こちらの記事では、自分に合った漢方の選び方やおすすめの商品、更年期の諸症状と相性のよい漢方薬などを特集しました。
こちらのページの目次
更年期障害は漢方薬で改善できる?
更年期は、女性ホルモンのエストロゲンが減少し、自律神経が乱れることによって、心身の不調が繰り返す時期になります。
更年期治療の代表的なものといえば、不足していく女性ホルモンを補充する「ホルモン補充療法」が思い浮かべる方も多いと思いますが、実はホルモン補充療法と同じくらい漢方薬による治療がおこなわれています。
漢方薬は自然由来の生薬を使い副作用も少なく安全で、症状がココロからカラダまで多岐に渡る更年期の症状とはとても相性がよい特徴があります。
また、体質や体型、症状に合わせて様々な漢方と組み合わせることも可能なので、1人1人にあった漢方を使用できることも大きなメリットになります。
効果に即効性はあるの?
残念ながら漢方薬による更年期対策は、即効性は期待できません。
数回飲んだだけ劇的に効果が出るようなことはないので、少なくとも1ヶ月程度は飲み続ける必要があります。
即効性のないデメリットはありますが、自分の症状に合った漢方薬を飲むことで、少しずつ更年期の症状を改善し、身体のバランスを整えてくれることが期待できるでしょう。
漢方の視点から見た「更年期障害」とは?
漢方の視点では、身体の中を「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の3つがバランス良く巡っていると健康だとされます。
「気・血・水」は身体の不調を探るものさしであり、3つの要素が不足したり、偏った時に、病気や不調が起こると考えられているのです。
更年期はこの「気・血・水」のうち、「気」と「血」の不調からきているとされていて、「気」と「血」を整える漢方が更年期の対策として選ぶべき漢方にうなります。
気の不調について
「気」とは、目には見えない生命エネルギーのことで、「元気・気力・気合い」の気。
自律神経の働きに近いとされていて、その「気」の不調が起こると次のような症状があらわれます。
- のぼせ
- ほてり
- 動悸
- 倦怠感
- 疲労感
- 食欲不振 等
血の不調について
「血」とは、血液のことで、血液は全身を巡って様々な組織に栄養を運びますが、生理の回数を重ねることで消耗し減っていきます。
「血」が不調になると、血の流れが滞ったり血が不足したりして、次のような症状があらわれます。
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 睡眠障害
- 集中力の低下
- 耳鳴り 等
【漢方薬の正しい選び方】自分に合った商品をどうやって選べばいいの?
1番大切なことは、症状に合った漢方薬を選ぶことですが、その際に体質も考慮して薬の種類を選ぶ必要があります。
更年期の際に処方される代表的な漢方薬と症状については、こちらを参考にしてください。
漢方薬 | 効果のある症状 |
加味逍遙散 (かみしょうようさん) |
・ホットフラッシュ ・頭痛 ・疲労回復 ・イライラ 等 |
当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん) |
・貧血 ・めまい ・頭痛 ・肩こり 等 |
桂枝茯苓丸 (けいしふくりょうがん) |
・冷え性 ・めまい ・のぼせ ・ほてり 等 |
半夏厚朴湯 (はんげこうぼくとう) |
・吐き気 ・喉の異物感 ・不安感 など |
温清飲 (うんせいいん) |
・肌の乾燥やくすみ ・集中力の低下 ・冷え性 等 |
漢方薬は医薬品なので、病院で医師に処方してもらう方法がもっとも確実な選び方にはなります。
体質を見極める方法「証」にも注目
「証」とは、体質や体力、抵抗力、症状のあらわれ方などの「個人差」のことです。
漢方薬は、身体の不調を見る「気・血・水」と「証」を診て処方される事が多く、幅広い症状が特徴の更年期障害にとって「証」を見極めることはとても重要なポイントになります。
「証」は、「虚(きょ)」と「実(じつ)」に分けられ、それぞれ次のような体質の人のことを言います。
虚証(きょしょう) | 実証(じっしょう) |
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「症状」と「証」、2つの視点から薬の種類を選ぶ必要があるので、特に理由がない場合は病院での処方がやはりおすすめです。
漢方薬を入手する4つの方法。ドラッグストアでも購入できる?
漢方薬の入手方法を大きくわけると、次の4つの購入方法にわかれます。
- 病院
- ドラッグストア
- 漢方薬局
- インターネット
それぞれの特徴や、購入する漢方薬に違いがあるか等を詳しく見ていくことにしましょう。
病院で購入する場合
先程も述べましたが、漢方薬は医薬品なので、基本的に病院で処方してもらうことが1番。
保険診療内で処方してもらえる漢方薬も種類が豊富にあるので、長期的に使用することを考えると経済的にも助かると言って良いでしょう。
漢方薬は副作用が少ないと言われていますが、症状や体質に合わないものを使ったり、使用量を間違えたりすれば、様々な副作用が起こる可能性もあります。
きちんと医師の指示を守って、正しく服用することが安心ですね。
ドラッグストアで購入する場合
処方箋もなく、簡単に購入できることは大きなメリット。
しかし、販売されている種類も少なく、配合されている生薬の量が病院で処方されるものに比べて半分ほどで、効果もゆるやかです。
同じ症状でも、体質によって合う漢方薬も違ってくるので、必ず薬剤師に相談して購入するようにしましょう。
漢方薬局で購入する場合
漢方薬局では、薬剤師にしっかりと問診してもらうことができ、舌の色などを診て、その人に合った漢方薬をその場で処方してもらうことができます。
病院等で扱っていない種類や質の良い生薬も多く取り扱っているため、オーダーメイドの処方も可能。
しかし、保険診療外で品質の良い生薬を扱っていることもあり、費用が高くなりやすい傾向にあります。
インターネットで購入する場合
処方箋もなく、いつでも購入できますが、直接医師や薬剤師に相談できないデメリットがあります。
ドラックストアと同様、病院や漢方薬局に比べると、効果もゆるやかで、購入できる種類も少なくなります。
ですが、忙しくて病院に行けない方や病院に行くことに抵抗を感じる方などは、インターネットでの購入は大変便利になります。
インターネットで購入できるおすすめの漢方薬5選
加味逍遙散(かみしょうようさん)
加味逍遙散は、更年期の症状の中でも特にホットフラッシュへの効果が大きいと言われています。
体力があまりない人で、疲れやすく、精神不安定、不眠症等の症状がある方にもおすすめの商品になります。
血の巡りを良くするだけではなく、更年期特有の神経の高ぶりや、抑うつにも効果があります。
価格 | 内容量 | 配合されている生薬 |
4,500円 (税抜) |
180錠 (約15日分) |
・トウキ ・シャクヤク ・ビャクジュツ ・ブクリョウ ・サイコ 等 |
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
当帰芍薬散は、体力がなく冷え性で貧血の傾向がある人に有効な漢方薬。
更年期による、倦怠感や冷え性、血行不良からくる頭痛にも効果的です。
更年期特有の寝付きの悪さを改善してくれるので、睡眠の質も良くなるでしょう。
価格 | 内容量 | 配合されている生薬 |
1,790円 (税抜) |
96錠 (約8日分) |
・トウキ末 ・センキュウ末 ・シャクヤク末 ・ブクリョウ末 ・ソウジュツ末 等 |
桂枝茯苓丸(けいしふくりょうがん)
桂枝茯苓丸は、比較的体力があり、冷え性やのぼせ、頭痛の症状がある人におすすめ。
更年期特有のうつ等の精神不安にも効果が高い漢方薬です。
また、ニキビや皮膚炎などにも効くため、更年期におこりがちな皮膚トラブルも解消してくれるでしょう。
価格 | 内容量 | 配合されている生薬 |
2,137円 (税込) |
360錠 (約30日分) |
・ケイヒ末 ・ブクリョウ末 ・ボタンピ末 ・トウニン末 ・シャクヤク末 等 |
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
更年期の女性は、吐き気や胃のむかつき等の症状も起こりやすくなりますが、半夏厚朴湯はそういった症状におすすめの漢方薬。
体力は普通にあり、喉に異物感を感じる人や、気持ちがふさぎ込みがちな人にも試して欲しいです。
価格 | 内容量 | 配合されている生薬 |
2,400円 (税拔) |
20袋 (約10日分) |
・日局ハンゲ ・日局ブクリョウ ・日局コウボク ・日局ソヨウ ・日局ショウキョウ 等 |
温清飲(うんせいいん)
温清飲は、更年期の症状の全般に良いと言われている漢方薬です。
体力は普通程度で、皮膚がかさかさして色ツヤも悪く、更年期によってのぼせる症状が出ている人におすすめ。
貧血気味やアトピー性皮膚炎の人には、特に有効だと言われています。
価格 | 内容量 | 配合されている生薬 |
3,800円 (税拔) |
180錠 (約15日分) |
・ジオウ ・トウキ ・センキュウ ・シャクヤク ・オウレン 等 |
漢方薬に副作用や注意点はある?
漢方薬は、自然由来の生薬がメイン成分となっているため、化学物質や添加物を含みません。
そのため、副作用の心配もほとんどありませんが、配合されている生薬にアレルギーのある方は注意が必要になります。
アレルギーがなくても体調が悪い時や胃腸の弱い人、過剰摂取した場合にも、副作用が起こることがありますので、使用する前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
副作用の可能性を考えると飲むことが不安だと感じる人には、副作用の心配が少ない漢方の生薬から作られたサプリがおすすめ。
田七人参や高麗人参を使ったサプリも数多く販売されているので、更年期の症状を改善してくれる効果が期待できるでしょう。
漢方薬と医薬品を併用しても大丈夫?
漢方薬と医薬品を併用することによって、薬が効きにくくなったり、副作用が起こったりする場合があります。
併用することによって、より効果的な治療を期待できる場合もありますが、中には併用することを禁じている薬もあるので注意が必要。
併用する場合は、必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
まとめ
- 更年期の症状には漢方が効果的
- 漢方薬は更年期の症状と体質も併せて選ぶことが大切
- 漢方の生薬を使ったサプリメントもおすすめ
漢方薬には、更年期の症状を軽減、改善する効果が期待できます。
ただ漢方薬を選ぶときに忘れてはならない重要なポイントとして、更年期の症状だけでなく体質も考慮しなければならないという点があります。
ドラックストア等で手軽に購入することも可能ですが、やはり最初は病院できちんと処方してもらう方が副作用の心配もなく安心でしょう。
また、漢方薬の副作用等が心配な人には、漢方の生薬が配合されたサプリも多く販売されています。
漢方薬と同じような効果が期待できますので、まずは気軽にサプリから始めてみるのもおすすめ。
更年期は心も身体も重くなり、塞ぎ込んでしまう人も多いですが、漢方の力を借りることで少しずつ症状を改善し、気持ちも明るく毎日を過ごせるようになるでしょう。